農業高校卒業後、実家の農業を継ぐ
労働生産性を高めるための栽培の改善
BtoBの商談を、JAにもフィードバック
愛知県豊橋市の中村なす園代表の中村敏秀(なかむら としひで)さんに、
就農した経緯や、栽培や販売の試行錯誤などについて伺いました!
就農経緯:両親に頼み込んで、ナス栽培一本に
管理人中村さんは実家が農家だったとのことですが、農業のイメージはどうでしたか?



私が子どもの頃は、土日は農業を手伝うのが普通だった時代でした。
だから正直、農業は好きではなかったですが…、
「男は農業を継ぐもの」という周囲の見方もあり、農業を継ぐつもりで農業高校に進学しました。



なるほど。
それでは農業高校卒業後に、実家の農業を継いだのですか?



そうですね。
私が就農してからは、ナス35aの他にも、キャベツを1haほどを栽培していました。
ただ、冬キャベツの収穫のためにナスの芽数を減らしていたので、収益性は低かったんです。
だから収益性を改善すべく、親父に頼み込んで、ナス一本にシフトしていきました。



作物の時期が被っていると、なかなか手が回りませんよね。



その通りで、両親や周囲からは、
「キャベツ1ha分の利益を、ナスの手入れだけで補填ができるわけない。」と思われていましたが、もう維持と気合で。
地域のナス農家の方にアドバイスをいただいたり、22時過ぎてもヘッドライトをしながらナスの手入れをしていましたね。



環境制御機器なども導入した甲斐もあり、就農当初に平均くらいの反収だったのが、2013年にはトップレベルの反収まで上げることができました。
努力が成果になって表れて、農業が本当に楽しくなりましたね!
その後は栽培面や販売面でも、いいと思ったものは積極的に取り入れて試行錯誤して、現在まで至ります。


栽培:生産性を追求した促成ナス栽培



では、現在の栽培はどんな感じですか?



全部で55aほどのハウスで、白ナスや千両ナス、輝ナスを栽培しています。
私と妻と息子、社員が1名、パートさん9名が働いてくれています。



様々なナスを栽培しているのですね。
栽培面でのこだわりはありますか?



スワルスキーカブリダニやタバコカスミカメという天敵生物を放飼して、なるべく農薬を減らす栽培をしています。
CO2発生機の導入や、ハウス内の温度湿度などをモニタリングして、ナスにとって最適な環境に近づけています。



天敵生物や環境制御など、地域のナス農家では、中村さんがいち早く導入されたと聞きました。
試行錯誤の中で、失敗などはありましたか?



思うような結果が出ないことは多々ありましたが、失敗というより課題だと捉えています。
例えば青枯病が出るハウスは、暑さのピークを過ぎた9月まで、定植を遅らせないといけないことは課題でした。
定植をずらしてハウスを一年間フルに活用できなければ、当然収量は落ちますからね。



だから2019年から、徐々に養液栽培に切り替えています。
隔離培地であれば、土中の病気を心配する必要がなくなります。
約2週間で次の作に植え替えられますから、ハウスが空く期間は短くなり、そのハウスでは収量も増加しましたね。



ナスの培地での栽培ですか。
先進的で、なかなか例がないことでも、積極的に取り入れているのはすごいですね!


販路:有志の農家が集まり、BtoBの販促団体を設立



販売面も新たに開拓されていると伺いましたが、現在の販路はどんな感じですか?



JAが6割、産直や道の駅が3割、1割は個人販売や有志の団体で販売しています。



JAがメインなんですね。
有志の団体、というのは?



「NOUTAKU」という、豊橋のナス、ミニトマト、キュウリ農家が集まってできた団体です。
自分たちの農園の野菜として、だけではなく、JAの野菜の品質の良さを、私たち農家側からPRしています。
現在大手外食チェーンで豊橋のナスを使ってもらっていますが、それもNOUTAKUの商談がきっかけなんです。



私はJA出荷が基本ではありますが、
「JAはもっと野菜を高く売れ!」
と主張するつもりはありません。
価格に関しては、JAだけではなく、私たち農家ももっとやるべきことはあると思うんですよ。
だからJAでもまだ商談できていない業者に向けて、豊橋の農作物の価値を提案していくのが、NOUTAKUの目的ですね。



ん?中村さんのナスだけではなく、JA豊橋のナスの良さもPRしているんですか?
それだと、NOUTAKUの農家の利鞘は薄くなってしまうのでは…?



いや、JAにいい農作物を出荷していれば、最終的に自分たちにもちゃんとリターンがありますよね。
それに輸送や事務作業、精算の面でのJAの仕組みは優秀で、利用しない手はありません。
私も就農当初、地域の農家に引き上げてもらったから、今があります。
だから手柄を自分だけのものにするんじゃなくて、地域に還元していきたいんです。



なるほど、NOUTAKUとは、地域農業のことも考えた有志の団体なんですね。


目標やアドバイス:AIを上手に利用した農業に



中村さんのこれからの目標はなんですか?



今のナス栽培をもっと改善しつつ、将来的には、農業経営全体をスムーズに引き継げるシステムを作りたいと思っています。
そのために今アグリテック企業と組んで、栽培や労務管理などを、AIに学習させているんです。



AI学習を利用して、解決方法を教えてくれたらいいですね!
AIが農業分野でも発達したら、農業のやる気はあるけど経験が浅い方でも、農業にチャレンジできるようになるかもしれません。



そうですね。
これからの農業は経費も環境も厳しくなっていますが、「農業=リスクの低いスタートアップ」ではないかと私は考えています。
食べ物は必ず売れますから、生産性がしっかりしていれば、食いっぱぐれはないでしょうから。
だから問題解決能力のある優秀な人こそ、農業にチャレンジしてほしいと思います。




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