夫婦で両親の農業を継ぐ
こだわりのアスパラガス栽培
各販路から引く手数多のブランドアスパラガス
京都府京田辺市の古川農園の内田愛実(うちだ まなみ)さんに、就農までの経緯や栽培のこだわり、販路開拓などを取材させていただきました!
経緯:会社員を辞めて、夫婦で農業を継ぐ
管理人内田さんは京都府京田辺市の農家の娘さんだったそうですね。
子どもの頃の農業のイメージはどうでしたか?



そうです。元々は酪農家の長女でした。
正直農業を継ぎたいとは思ってなかったですが、下の兄弟が誰も農業を継ぎたがらなかったので…(笑)。
酪農のための資格を取ろうと、獣医師を目指していました。



姉弟で誰が農業をするか、子どもの頃から話していたのですね。



しかし2001年頃から狂牛病問題が発生して、酪農経営が傾いたんです。
牛乳や国産牛の需要が一気に落ち、私が高校生の頃に、実家の酪農は廃業してしまいました。
だから獣医師免許を取って酪農家を目指すのも、止めてしまいましたね。



狂牛病は、日本の酪農畜産が大ダメージを受けましたね。
では内田さんは、何の仕事をされていたのですか?



「もっとキラキラした職業に就きたい!振る舞いが美しいホテルマンになりたい!」
と思い、外資系ホテルや高級ホテルで働いていました。
主にレストラン業務に6年半携わって、その後はホテルマンの専門学校の講師をしました。
お客様へ何をしたら喜んでいただけるか、常に試されている感覚が好きで、やりがいはありましたね。



一流ホテルの仕事は、プレッシャー凄そうですね。
ホテルマンから一転して、農業をすることになった経緯は何ですか?



里帰り出産を機に、夫も保険外交員を辞めて農業がしたいと言ってくれたので、京田辺市に戻って就農することにしたんです。
「わざわざ大手企業を辞めてまで、安定しない農業をしなくてもいいのに。」
と、夫は言われていたみたいですが…、
子どもたちに寄り添った生活、誇れる仕事がしたいというのは、私たち夫婦の共通の思いでしたね。



お子さんを第一に考えて、農業を選択されたのですね!
でも、ご両親は酪農を辞められていたのですよね?
内田さん夫婦は、新規就農されたということですか?



いえ、両親は酪農を辞めた後は、2016年からアスパラガス栽培をしていたんです。
そして夫は両親とは別に、イチゴの観光農園を目指して、JAで2年間イチゴ栽培の研修をしていました。
しかし観光農園の初期投資などがネックになり、それならば両親の農業をまずは継ごうと、2018年に私たち夫婦が合流したんです。


栽培:細かな管理で良質なアスパラガスを栽培



では、現在の作型や労働力を教えてください。



ハウスのアスパラガスが43a、海老芋が30a、米が100a以上です。
労働力は私たち夫婦と両親、あとはパートさんが2名働いてくれています。
私たちが継いでからは、アスパラガスは規模拡大して、メイン作物になっています。



しかし、京田辺市はアスパラガスの産地ではないですよね?
ご両親からアスパラガスの栽培の土台を引き継いだとはいえ、なぜアスパラガスを拡大しようと思われたのですか?



その通りで、就農当初は京田辺市でアスパラガス農家はうちしかいませんでした。
だからこそこだわった栽培が出来て、独自の販路で勝負できると考えました。
・完熟堆肥と微生物資材を投入して
・農薬を極力減らして
「そのまま丸かじりしても美味しいアスパラガス」を栽培しています!



1軒しかないから、逆に商算を見出したのですね。
そんなこだわりのアスパラガス栽培で、失敗はありましたか?



失敗と言えば2021年に、1か所のハウスのアスパラガスが全て枯れてしまったことですね。
アスパラの親茎を伸ばす「立茎期」に、天気が悪くて消毒液が乾かずに、褐斑病を出してしまいました。
病害に対する考えが、甘かったのを痛感しましたね。



ハウス1か所が全滅、手痛いですね。
失敗を受けて、どのような改善をされたのですか?



静電ノズルを使った動噴で、一度の農薬散布をより効果的にできるようにしました。
作終わりのガスバーナーでの土壌消毒も、残渣と土壌をきっちり燃やして、病原菌が残さないことも意識しました。
以降は農薬は減らしつつも大失敗はせず、アスパラガスの収量品質共に上がっています。



農薬散布は、意識の仕方で変わることもあるのですね。
あとは、栽培面の今後の課題はなんですか?



春芽(3~5月)と夏芽(6~9月)の、食味をなるべく揃えることですね。
・最低でも年4回の土壌分析
・水分計を目安に、谷換気や灌水を調整
など、細かく調整しながら、販売先の期待に応える努力をしています。


販路:販売先から引く手数多のブランドアスパラガス。



現在の販路はどんな感じですか?



アスパラガスは、飲食店や仲卸への納品が多いですね。
前職の高級ホテルや地元スーパー、直売所にも出荷しています。
海老芋はJA経由で市場に90%以上出荷、米は全て小売しています。



アスパラガスは、全て直販で売れているのですね。



そうですね。就農当初は、両親が直売所に出荷していました。
ただ私たちが就農する時にアスパラガスは規模拡大したので、販路を多角化して増やす必要があったんです。
京田辺市はアスパラガスの産地ではないので、JAや市場出荷は考えず、ブランド化して販売することにしました。



アスパラガスのブランド、具体的にはどんな感じですか?



1本40g以上、断面が丸で、芽先までの見た目も美しいアスパラガスを「翠京」と命名して販売しています。
翠京はとても好評で引き合いが多いのですが、収量が間に合っておらず、販売先にお待ちいただいている状況です。



順番待ちになるほどのアスパラガス、食べてみたくなりますね!
でもここまで販路拡大をするのに、営業面で苦労もあったのでは?



営業はしたことがないんですよ。
料理人の方が翠京を買ってくれて、飲食店同士の口コミで広めてくれたみたいなので。
ただ取引希望のお相手には、必ず当園にお越しいただいて、顔を合わせて商談することにしています。
向かい合って話した方が、お互いの考えは伝わりますからね。



営業せずとも口コミで広まるものなんですね!
直接来てもらうという一手間、参考になります。
あとは販売面の今後の課題はありますか?



翠京以外の、細いサイズのアスパラガスの販売の強化ですね。
アスパラガスは25㎝で切って販売していますが、切り落とした軸に近い端が、一番甘みが乗っているんですよ!
だから端を切らずに販売したり、アスパラガスの加工(OEM)など、検討しています。
海老芋に関しては、何年も京果市場の最高値をいただいているので、継続できるようにしていきたいです。


目標やメッセージ:稼げる農業のロールモデルに!



今後の目標はありますか?



近いことで言えば、両親から私たち夫婦への、事業継承を検討しています。
そして3年以内に収入を倍にして、「満天☆青空レストラン」に出演することです!
子どもたちの子育ても大切にして、稼げる家族農業のロールモデルになれれば光栄です。



テレビで「うわっ、うまい!」と言ってもらえると、爆発的に売れるらしいですね。
応援しています。
最後に、就農希望者の方にメッセージがあればお願いします。



・何を作って
・どこに売るか
・何のために農業をするのか
販売の出口と覚悟を決めないと、農業で結果は出ないと思います。
私たちは、「家族やお客様のために、アスパラガスと海老芋を栽培する」農業を今後もしていきます。
一緒に頑張りましょう!




コメント