甲子園にも出場、大学まで野球を続ける
生産量トップレベルの新生姜栽培
生姜の加工品も自社生産
高知県四万十市の山崎生姜農園の山崎智也(やまざき ともや)さんに、
新規就農した経緯や、日本一を目指す新生姜栽培、六次産業化についての考え方を伺いました!
就農経緯:地元で貢献することを目標に、農業の道へ
管理人山崎さんはどのような子どもでしたか?



高知県四万十市で生まれ育って、野球に熱中していた少年でした。
どうしたら甲子園に行けるかを考えて、日々努力して、甲子園にも出場しましたね。
名古屋の大学にも、スポーツ推薦で進学しました。



元甲子園球児!すごい!
大学まで野球を続けられたそうですが、その後の進路選択はどのように考えたのですか?



大学卒業後は四万十市に戻って、何かしらで起業したいと漠然と考えていたんです。
野球と同じように、頑張った分だけ上手くなって成果が見えるような業種を模索していました。
田舎での起業で、努力の成果が返ってくる仕事。
それなら農業だろうということで、四万十市で新規就農を目指すことになったんです。



農業で起業したいと考えていたのですね。
栽培する作物は決めていたのですか?



いや、農業は全く未知の世界でしたので、まずは農業という仕事に慣れてから、作物を決めようと考えました。
だから地元の四万十市の、色々な農家さんの所へ3年半ほどアルバイトに行きました。
トマト、オクラ、ピーマン、ブロッコリーなど、色々な作物の栽培を経験できましたね。



色々な作物を経験する中でも、新生姜は私のイメージをはるかに超えていました!
そもそも私は茶色い生姜しか知らなかったので。
「こんなにきれいな色で、こんなに大きくなるのか!」
と、感動すらしましたね!
だから栽培作物を新生姜に定めて、さらに2年間生姜農家で研修したのち、2020年に新規就農しました。



なるほど、新生姜ですか。
高知県は生姜の産地でもありますし、しっかり栽培ができれば、生計は立てられるでしょうね。
ただ新規就農となると、農地確保で苦労するイメージがあります。
山崎さんは、新生姜のハウスはどうやって手に入れたのですか?



私の場合は、近所の地主さんに声掛けして農地を借りることができました。
そして借りた農地に、丸型の鉄骨ハウスを建てました。
30aのハウスは、約5000万円しましたね。



借りた農地に、いきなり30aのハウス!
資金面はどう工面されたのですか?



高知県はハウス建設時に、国や県から助成金が出るので、それを利用しました。
足りないハウス建設費分と、トラクターや管理機などの農機は、全て青年等就農資金の融資を受けました。



多額の融資、そして独立して自分で新生姜栽培を始めるとなると、勝手も違ってくると思います。
新規就農に不安はなかったのですか?



不安はなかったですね。
通常の新規就農では1,2年の農家研修を、私は計5年していましたから。
色々な農家さんの話を聞く中で、ちゃんと栽培技術がないと通用しない世界だという危機意識があったんです。
人よりも長く基礎を固めたおかげで、就農初年度から売上目標を達成できたと思います。


栽培:日本一の規模になった新生姜栽培



では、現在の栽培はどんな感じですか?



110aのハウスで、新生姜をメインにして、冬にチンゲン菜も栽培しています。
2026年の4月に法人化して、役員は私と妻、正社員が2名、パートさんが14名の体制です。



たったの数年で、30aから一気に規模拡大されたのですね!
高知県でも有数の規模では!?



新生姜で110aというのは、高知県でもトップレベルの規模と収量らしいですね!
規模だけではなく、「どこよりもきれいな見た目の新生姜」を目指して栽培していますよ。



きれいな見た目の新生姜にするために、どのようなこだわりがあるのですか?



白とピンクが映えるような生姜の肌にするには、病気を出さないことが大事になります。
うちは農薬を極力使わないので、病気の持ち込みには特に注意していますね。
・外履きはハウス内で履き替える
・農機具は徹底的に洗浄する
・倉庫内は整理整頓する
など、野球選手がミットを毎日磨くように、当たり前のことを普段から徹底しています。



なるほど…。土壌の病原菌の持ち込みに注意している根菜の農家さんは多いですけど、
山崎さんほど徹底している例はあまり聞きませんね。
では、栽培の失敗はなかったのですか?



先述した通り、私は計5年間農家で研修したので、大きな失敗は一度もありません。
ただ近年の猛暑で、収量を落としたハウスもありました。
しかし潅水の量や、朝夕の灌水時間を改善することで、収量は持ち直しましたね。



大きな失敗がないというのは、素晴らしいことだと思います。
やはり栽培技術の習得が肝心なんですね。
栽培面での目標はありますか?



収量も栽培技術も、新生姜で日本一を目指します。
私がもっと規模拡大できれば、地域の雇用も生んで、微力ながらも地域に貢献できますから。
そして、四万十の新生姜の良さをもっと多くの方に知ってもらうために、直販や6次産業化にも力を入れていきます。


販路:直販に加えて、自社での生姜の加工品も製造



現在の販路はどんな感じですか?



就農1年目はJA出荷のみでした。
2026年現在はJAに加えて、市場やECサイトでの販売もしています。
1つ1つの食材にこだわっているような、飲食店との取引もしていますね。



販路も多角化してきたのですね。
どこの販路が売上減少しても大丈夫なように、リスクヘッジという狙いがあるのですか?



それもありますが、山崎生姜農園の新生姜を、もっと全国に届けていきたいんです。
日本一の新生姜農家になるためには、多くの方に新生姜の良さを知ってもらう必要があるので。
だから商談会にも行って、積極的に山崎生姜農園の新生姜をPRしていきました。



商談会にも参加して、販路を増やしてきたのですね。
しかし直販となると、手間や苦労も多かったのでは?



そうですね。特に、
「他の産地の新生姜と、どこが違うの?」
と商談会ではかなり聞かれたので、他の新生姜との差別化は突き詰めて考えてきました。
山崎生姜農園の新生姜は、
・四万十川の地下水で洗っていて、
・土の付着がほとんどなく、すぐに調理できて、
・どこよりもきれいな新生姜
という特徴を磨いたことで、取引先に関心を持ってもらえましたね。



差別化、自社商品の特徴、参考になります。
あとは山崎さんは、生姜の加工品も手がけていますよね?



そうです。6次産業化は、就農2年目から加工場を構えて始めました。
自社の新生姜を使い、生産から加工まで一貫しているので、品質には自信があります!
一年を通して商品があることで、新生姜のシーズン以外にもPRや提案ができるようになりますからね。
加工場の初期投資はかかりましたが、日本一の生姜農家になるためには、必要な投資でした。


目標やアドバイス:目指すは日本一の新生姜農家、そして世界へ!



インタビュー中に、「日本一」というフレーズが度々聞かれます。
山崎さんは、なぜ日本一になりたいのですか?
すでに農家として、十分に成功していると思えますけど…。



単純に、一番を目指して努力していくのって、楽しくないですか?
野球でもそうでしたけど、私は決して才能があったわけではありません。
・甲子園に行くには、
・レギュラーになるには、
・そのために今できることは何か、
毎日の目標に落とし込んで行動したからこそ、成果が出たと考えています。



特に新生姜栽培は、努力した分だけリターンがある仕事ですから、やりがいはすごくあります。
栽培技術と規模にもっと磨きをかけて、世界にも新生姜や栽培技術を提供していきたいです。



上を目指し続けられるのは、山崎さんが野球で努力し続けたからこそ、たどり着いた境地なのかもしれませんね。
そして日本一の先には、世界進出まで視野に入れているのですね!



そうです。日本の新生姜と栽培技術は高いんですよ!
韓国などの海外からの視察もうちには来ますが、
「こんなにきれいで立派なジンジャー、見たことない!」
と、とても驚かれます。
ドバイなどの中東諸国では、寿司屋が増えており、ガリの需要が増えていますしね。
だから新生姜の輸出や、現地での栽培技術のコンサルなども将来的にはしていきたいです。



スケールが大きいですね!
私も頑張らねば…!
最後に、新規就農者の方にアドバイスがあればお願いします。



私も就農希望者の相談はたくさん受けます。
そこで私が就農希望者の方にまず聞くのが、
「何で農業をやりたいんですか?」
ということです。
農業に限らず、心の底からやりたい仕事しか、努力できませんからね。
新規就農した同じ地域の同期は、すでに何人か離農しています。
覚悟と責任を持つことが、農業の成功への条件だと思っています。





取材させていただきありがとうございました。


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