東京で生まれて就職も東京→田舎の祖父母の農業を受け継ぐ。「引き算」の栽培

記事の内容

東京で生まれ、豊橋市の祖父母の農業を継ぐ

師匠に学んだ「引き算」の栽培

直販への再チャレンジ

愛知県豊橋市の白柴農園株式会社代表のの白井一城(しらい かずき)さんに、

就農した経緯や、栽培や販売の試行錯誤などについて伺いました!

目次

就農経緯:東京→愛知県豊橋市の祖父母の農業を継ぐ

管理人

白井さんは東京出身と聞きました。
白井さんが農業をすることになった経緯はどんな感じですか?

白井さん

そうですね。
父方の祖父母が、愛知県豊橋市で電照菊やキャベツを農業をしていましたが、私自身は東京都で生まれ育ちました。
父親は豊橋市に戻って祖父母の農業を手伝っていましたが、私は東京の証券会社に就職しましたから、農業は身近ではなかったです。

白井さん

ただ2018年に、祖父母が相次いで病床に伏して、父親も思うように働けなくなってしまったんです。
営農を一旦中断せざるをえない状況だと聞き、私も悩みましたが、
「自分なら農業を立て直せるのではないか?」
という考えがこみ上げてきました。

管理人

大変な経緯があったのですね。

白井さん

とはいえ、いきなり農業素人の私が就農しても立て直せないので、静岡県浜松市の農業法人で、約1年間働きました。
露地野菜を大規模に生産する法人で、主にキャベツやスイートコーンを栽培を経験して。
そして2019年に愛知県豊橋市に移り、営農を再開させたんです。

管理人

農業法人で約1年間の経験を積んでから就農されたのですね。
就農してからは順調でしたか?

白井さん

いや、初年度は露地野菜を定植しながら、破れたハウスを自分で直すことから始めましたが…。
地域が違うと栽培も勝手が分からず、ハウスの修繕費も重なって、赤字のスタートでしたよ。
ビニールを張り直しながら、作物や栽培を見直して、2022年に黒字になって初めて自信がつきましたね。

スナップエンドウを収穫する白井さん

栽培:「引き算」の栽培で量質が改善

管理人

現在の栽培はどんな感じですか?

白井さん

・ハウスは55aで、メロンとスナップエンドウ、カボチャ
・露地野菜は約2.3haの農地で、白ネギやキャベツ

を栽培しています。
私と社員が2名、パートさん8名が働いてくれています。

管理人

ハウスと露地を組み合わせた作型なんですね。

白井さん

そうですね。就農時にJAや周りの農家に相談して、スナップエンドウを軸にしました。
豊橋市はキャベツの一大産地ではありますが、農地をいきなり増やせる当てもなく、キャベツ以外の軸が必要だったんですよ。
あとは電照菊の設備も更新が必要でして、作物転換するタイミングだったというのもあります。

管理人

なるほど。栽培面での改善をされたということですが、就農当初からどのような改善をされたのですか?

白井さん

ざっくり言えば、就農当初は色々な資料やネットの情報を良かれと思って取り入れていました。
特にスナップエンドウは、栽培は上手くできましたが、作業量や資材費も多く、利益があまり残らなかったんです。

白井さん

そこで、地域のスナップエンドウの篤農家を師匠として、師匠の栽培をそのまま実践することにしました。
アレンジを加えずに、奇をてらわない栽培。言わば「引き算」の考え方ですね。
その結果、作業時間や経費は改善して、さらにスナップエンドウの収量も品質も良くなりましたね。

管理人

ネットの知識よりも、地域の農家のやり方がうまくハマったのですね。
あとは栽培面での今後の課題はありますか?

白井さん

現在の栽培のマニュアル化とデータ化ですね。
Googleのクラウド機能で作業時間やマニュアルを農園全体で共有して、データを貯めているところです。
天候も単価が悪い年でも対応できるような、マニュアルやデータを活用した栽培判断をしていく予定です。

Googleを利用したマニュアル化も進めている

販路:直販への再チャレンジの決断

管理人

現在の販路はどんな感じですか?

白井さん

大半をJAに出荷していますが、今後はネットや道の駅などへの直販も再開したいと考えています。
これからは白柴農園のファンを増やしたいですね。

管理人

再開ということは、以前も直販をされていたということですか?

白井さん

そうです。就農初年度も、ECサイトや道の駅で販売していました。
それこそECサイトでは、コロナ渦の需要もあり、年間で約1500件の注文数をいただいていたんですよ。
しかし当初は栽培やハウスの修繕で手いっぱいの中で、個別の梱包作業などが大変だったんです。
産直や道の駅の実店舗では価格競争もあり、まずはJA出荷に専念することにしました。

管理人

1500件!すごいですね!
ただJA出荷から、再び直販にチャレンジされる狙いはなんですか?

白井さん

まず断っておきたいのが、私は直販がダメというわけではなく、挑戦するタイミングが悪かったと思っているんですよ。
だから栽培技術が確立した現在、もう一度直販に取り組む価値はあるかなと。
やっぱり自分で価格を決めるというのは、JA出荷にはない特徴ですし。
それにお客様から、
「美味しかったよ!」
と直接言ってもらえることは、代えがたい喜びもありますから。

管理人

たしかに、直販するやりがいは、系統出荷にはない特徴ですね。

目標やアドバイス:農業は根性が大事!

管理人

白井さんのこれからの目標はなんですか?

白井さん

さらなる規模拡大は念頭に置いていて、そのために2024年に株式会社化しました。
ただ農地の話は、豊橋市では運や縁も関係してくるので、具体的な拡大目標は作らないようにしています。
まずは目の前の栽培を、お客様に喜んでもらえるように一生懸命やることですかね。

管理人

たしかに農地に関しては、条件のいい所で増やしたいですよね。
最後に、農業を志す方にアドバイスがあればお願いします。

白井さん

私の元にも年に数回、就農希望者が訪れますが、
「今の状況で就農しても難しいよ。」
と、正直に伝えています。
ハウスの建設費や色々な経費が爆上がりして、中古の農機やハウスで始めたとしても、修繕費はバカになりませんからね。

白井さん

ただそれでも農業がしたければ、根性が大事だと伝えたいです!
私も黒字になるまでは、精神的にもキツイことも多かったです。
ただ根性を持って続けていれば、栽培技術や作物転換などの突破口が見つかります。
黒字にしている農家は、やっぱり皆根性あると思いますよ。

白柴農園さんのキャベツ畑
農家さんのリンク

こぼれ話:農福連携も活用

管理人

白柴農園さんは農福連携もされていると伺いました。

白井さん

そうです。
豊橋市の就労支援B型事業所「美緑」さんと提携しています。
親族が利用している縁があり、利用者の方に農作業をしてもらっているんです。

管理人

そうなのですね。
だけど、作物の多い白柴農園さんの農作業は、多岐にわたりますよね。
主に何の作業をしてもらっているのですか?

白井さん

スナップエンドウの収穫が多いですけど、大半の作物の作業をしてもらっています。
農福連携している農家は豊橋市にはほとんどいないですし、どこまで任せられるのかなど、最初は難しいかと思ってました。
だけど作業を細分化すれば、だいたいの仕事はしてもらえています。
農作業にやりがいを感じてくれる利用者さんもいて、お互いがいい関係を築けていると思いますね。

管理人

なるほど、作業を細分化して分かりやすくすれば、利用者の方が取り組めるようになるんですね。
参考になります。

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