JA職員を辞めて実家の農業を継ぐ。地域の定番になるための、ミニトマト栽培や販売の改善。

記事の内容

JA職員→祖父の代から続く農家を継ぐ

ミニトマト栽培のこだわりや苦労

県の認証制度への登録、地元の定番品を目指す

島根県出雲市の玉木農園代表の玉木真二(たまき しんじ)さんに、就農した経緯やミニトマト栽培のこだわりや苦労について伺いました!

目次

経緯:JA職員を退職して、祖父の代から続く農業を継ぐ

管理人

玉木さんの子どもの頃は、農業にどんなイメージがありましたか?

玉木さん

祖父の代から米やブドウや野菜苗を栽培している農家で、家族皆で農作業をしているのが当たり前の光景でした。
学校の授業でうちに社会科見学に来ることが嬉しかった記憶があり、農家という仕事にマイナスイメージはなかったと思います。

管理人

農業が嫌ではなかったのですね。
では学生時代は、農業の勉強をされていたのですか?

玉木さん

そうですね。地元の農業高校に進学しました。
家族から農業を継げとは言われませんでしたが、私は長男で、いずれは農業を継ぐつもりでしたので。
農業高校卒業後は、茨城県の農業の専門学校で、4年間野菜栽培の勉強をしました。
いきなり実家で親元就農するより、島根県外での農業の経験や勉強をしたかったからです。

管理人

一貫して、農業を継ぐための進路ですね。
卒業後に実家に戻って就農されたということですか?

玉木さん

いえ、島根県のJAに職員として就職しました。
専門学校からJAの就職の推薦状ももらえましたし、当時は祖父も父親も元気だったので、私が戻る余地がなさそうだったので。
22歳から約8年間、主に米や大豆などの営農指導をしていました。

管理人

JAへの推薦状がもらえるほど、模範的で優秀だったのですね。
それで、8年間勤めたJAを辞めたきっかけがあったのですか?

玉木さん

父親に病気が見つかって、以前のように動けなくなったんです。
私がいずれ就農するつもりなのは、同僚のJA職員も知っていましたから、退職は円満というかスムーズだったと思います。

管理人

そういった事情があったのですね。

玉木さん

結局父親も体調が悪くなり、農業経営の詳細までを引き継ぐことできませんでした。
母親は私に、安定した仕事を辞めてほしくなかったみたいですけど…、
家族のためにも、「もうやるしかない!」という気持ちでしたね。

玉木農園さんの鈴なりのミニトマト

栽培:ミニトマト栽培のこだわりと苦労

管理人

玉木農園さんの栽培はどんな感じですか?

玉木さん

父親の代から栽培している約40aのハウスのミニトマトと、春秋の野菜苗の栽培をしています。
私と母親、あとはパートさんが6人働いてくれています。

管理人

お父様がミニトマトの施設栽培を導入されたのですね。
玉木さんが栽培で意識していることはありますか?

玉木さん

甘みと酸味のバランスのいいミニトマトを、安定してスーパーの棚に供給できるように栽培しています。
以前は数種類のミニトマトを栽培していましたが、2023年に部会全体で「小鈴スイート」という品種に統一して栽培するようになりました。
小鈴スイートは食味も良く、実が割れにくいので、安定出荷に向いていると思います。

管理人

ミニトマトの品種を変えたのですね。

玉木さん

あとは水耕栽培から、2024年からトロ箱培地での栽培に順次切り替えています。
水耕栽培システムの老朽化という事情もありますが、近年の夏の異常な高温への対策ですね。
ベット内の水温30℃を超えてくると、ミニトマトの生育適温から外れてしまい、枯れてしまうこともあるんですよ。
要するに、ミニトマトの根が煮えて茹ってしまう状態です。

玉木さん

水温よりも培地温の方が熱しにくいですし、ベット内に敷くココピートは比較的安価です。
培地は太陽熱消毒で再生利用できるので、ミニトマトの致命的な病気、青枯れ病のリスクも下げられます。
環境面でもコスト面でも、トロ箱栽培の導入はメリットがあると考えました。
実際にトロ箱栽培の方が、量や質が安定しましたしね。

管理人

なるほど、水耕栽培よりも培地栽培の方が高温に強いんですね。
トロ箱での培地というのが、玉木さんの思考や工夫が反映されていると感じます。

玉木さん

ただそれでも、40℃を超える気温では、実が落ちることは避けられません。
だからトロ箱栽培に加えて、年1回植え替えの周年栽培を、暑い夏に植え替える年2作の作型を試しています。
ミニトマト部会としてもいつでも店頭で手に取れるように出荷したいですが、作型についても試行錯誤は続けるつもりです。

トロ箱でのミニトマト栽培

販路:玉木農園が集荷を取りまとめて出荷するミニトマト

管理人

現在の玉木農園さんの販路はどんな感じですか?

玉木さん

ミニトマトは、JAを通した市場出荷がほとんどです。
「ひかわの恵みトマト」として、主に島根県内の大手スーパーに並んでいます。
野菜苗は生花市場や地元の種苗店に卸しています。
玉木農園として、ECサイトや直売所でも販売していますよ。

管理人

主力のミニトマトは、JA出荷がメインなんですね。

玉木さん

JA出荷という体ですが、うちが9人の部会員のミニトマトを集荷して、私がまとめて市場に出荷しています。
父親の代からミニトマトは地域でうちが一番大きく栽培していたこともあり、他のミニトマト生産者と協力して、量を確保していたんですよ。

管理人

他の部会員のミニトマトも、まとめて出荷しているのですか!
玉木さん、ものすごく大変では…?

玉木さん

まあ大変ですけど、父親から引き継いでいることですから。
JAに編入した現在では、事務手続きや通帳への清算金額の振り込みはJAがしてくれるので、助かっています。

管理人

個選共選みたいな感じですかね。
これからの販売面での目標はありますか?

玉木さん

地元出雲の定番商品として、ミニトマトを手に取ってもらうことですね。
玉木農園では、JGAPに準拠する「美味しまね」認証を取得しています。
美味しまね認証には手間やお金もかかりますが、清掃のチェックなど持続的な栽培の中で重要な項目も多く、意義がある認証だと考えています。
「美味しまね認証のついた、玉木農園さんのミニトマトが欲しい!」と言ってくれる業者もいるので、その先にいるお客様の期待に応えたいと思っています。

玉木農園さんのミニトマトは人気商品

目標やアドバイス:小さな農園、だからこそ丁寧に育てる

管理人

玉木農園さんのこれからの目標はありますか?

玉木さん

うーん…、ざっくり言えば、「地域に根付いた農園」でしょうか。
・定番商品として島根県内のスーパーに玉木農園の野菜が並ぶ
・学校の授業で社会科見学に来てくれる
・家族や従業員とも明るく楽しく働く
私が目指す農園像です。

管理人

玉木さんが子供の頃に、実家に社会科見学に来てくれて誇らしかったように、地域に親しまれる農家になれるといいですね。
最後に、農業に興味がある方にアドバイスがあればお願いします。

玉木さん

親元就農の場合、親と一緒に働くというのも関係が近すぎて、なかなか大変で難しい所もありますが…。
年長者の言うことは、長年の経験から正しいことが多いですし、聞いておいた方がいいです。
その上で親と違う農業や栽培がしたければ、親の経験を覆すほどの努力ややる気は必要だと思いますね。

玉木さん

全くの新規で農業を始める方にとっては、今の情勢では、土地無しハウス無しから始めるのはとても大変だと思います。
また、長く農業で生活していくためには技術や知識も大切ですが、地域に溶け込んで、周りの方に味方になってもらうことも大切です。
だからまずは地域の農家と、コミュニケーションを取ることから始めるといいと思いますよ。

野菜苗の生産もしている
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