会社員を辞めて、京都府亀岡市で専業農家に
田んぼ→九条ネギの契約栽培に作物転換
契約栽培のメリットや難しさ
京都府亀岡市のやまもと農園の山本哲郎(やまもと てつろう)さんに、就農した経緯や九条ネギ栽培、契約栽培などを伺いました!
就農経緯:電気メーカーの工場→農業の道へ
管理人山本さんは子どもの時、農業にどんなイメージでしたか?



私は亀岡市の兼業農家の三男で、両親は1.5haほどの米を栽培していました。
田植えや稲刈りの時期は、毎年家族や親戚が総出でやって。
それが当たり前の光景でしたから、特に農業が好きとか嫌いとかはなかったです。



そうだったのですね。
農業を始める前は、どんな仕事をされていたのですか?



高校卒業後から、大手電機メーカーに就職しました。
主に車の電子機器のライン製造に携わっていました。
だけど20年近く勤務すると、私も管理職になるタイミングになって、
「給料も上がって安定しているけど、このまま会社勤めでいいのだろうか?」
と、自分の人生を見つめ直すことにしたんです。



管理職の先輩方のように働き続ける自信もなく、またいずれは、何かしらの自分の仕事を持ちたいと漠然と考えるようになりました。
何かしらの自分の仕事、となると、一番最初に頭に浮かんだのが農業でした。
子どもの頃から、田んぼに慣れ親しんでいたからでしょうね。



幼少期の経験もあって、会社員から農業を志すようになったのですね。



とはいっても、私は田植えと稲刈りの手伝い以外は知らなかったので、まずは農業を勉強しようと思いましたね。
会社員勤めをしながら1年半、週末にアグリイノベーション大学校のオンライン講座で、座学や農業経営を学びました。
1年半ほど仕事と農業の勉強を並行した後、20年働いた会社を辞めて、2022年に新規就農したんです。



確約された役職を辞めて農業を新しくすることに、不安はなかったのですか?



サラリーマンと違って、毎月一定の給与がないので、キャッシュが尽きる怖さはありました。
私は両親が栽培していた米ではなく、露地畑へ転換して新規就農した形なんです。
だからトラクター以外の、ネギの定植機やマルチャーを買い足していったので、就農当初は利益はなかなか厳しかったです。
「一生懸命農業をやって、ダメなら会社員に戻ればいい。」
と、ある意味で腹をくくっていました。


栽培:米→九条ネギ専作に作物転換



現在の山本さんの栽培は、どんな感じですか?



1.8haで業務用のカットする九条ネギと、根付きの九条ネギを、通年で栽培しています。
私とパートナーの2人で全体的な栽培管理をして、出荷調整のスタッフが計6名働いてくれています。



米を栽培していた田んぼを転換して、就農当初はスイートコーンや万願寺トウガラシなども栽培していました。
だけど現在は、栽培体系をもっと確立して業者の期待に応えるために、九条ネギ1本です。



ご両親がされていた米を辞めて、転作されたのは理由があるのですか?



米は大規模な農地と機械化が前提で、私の周りには集約できるほどの農地がなかったんです。
あとは私の性格からして、毎月出荷して売上がある方が、農業がしやすいと考えました。



なるほど。
では、九条ネギの栽培面でのこだわりはありますか?



化成肥料になるべく頼らず、堆肥や有機質肥料中心の施肥設計を心がけています。
私の栽培は、まず牛糞堆肥と鶏糞を中心とした有機肥料を圃場に鋤きこんで、半年以上圃場を休ませます。
堆肥が馴染んだ後にネギを定植するので、肥効が安定してネギの生育が良くなるのを実感しています。



畑の微生物に堆肥を発酵してもらうイメージですかね。
それでは栽培面では、大きな失敗したことはありませんか?



いやもう、失敗だらけでしたよ…。
特に就農初年度は油断もあり、べと病を発生させてしまったことがあります。
亀岡市は盆地なので、湿気が留まりやすく、カビ系の病気対策が必要不可欠なんですよ。



べと病、夏には数日で広がってしまうイメージがありますね。



まだ業者と契約前の段階だったので、取引先に迷惑はかけなかったのが幸いでした。
定期的な防除体系を見直し、初期発見や予防防除に努めて、栽培が上手くできるようになったと思いますね。


販路:九条ネギのほとんどを契約出荷



現在の山本さんの販路は、契約出荷がメインなんですか?



そうですね。大半はネギの加工業者3社に、ほぼ毎日出荷しています。
あとは産直センターにも、出品していますね。



契約出荷がメインということは、売上を安定させたいということでしょうか?



そうです。目標としているキャッシュが毎月入る方が、私には向いていますしね。
それにネギの市場出荷は値動きが激しいので、業者との契約を望む農家が、この地域には多いんです。



とはいえ当然、業者にも取扱える限界量はあります。
私の場合、ネギ農家の先輩から出荷枠を紹介していただいて、取引が始まりました。
あとはネギが少なくて業者が困っている時に、業者側から私に連絡が来ることもありますね。



なるほど、九条ネギって、なかなか特殊な作物なんですね。
その中で、契約出荷を守り続けるのは大変では?



まあ大変な所もありますよ。
雨でも収穫する日もありますし、正月以外はほぼ毎日出荷しています。
でもやはりネギの量と質を安定させて出荷することが信頼につながりますし、契約していただいている業者の期待には応えていきたいです。


目標やアドバイス:農業はストレスの種類が違う



山本さんの、今後の展望はありますか?



まずは九条ネギの栽培体系を、もっと確立させます。
農業経営の土台を固めてからいずれは法人化して、別の作物も作ってみたいですね。
就農当時栽培していたスイートコーンや万願寺トウガラシの他にも、レモンなどの果樹にも興味があります。



応援しています。
最後に、サラリーマンを辞めて農家になってよかったですか?



私は良かったと思っていますよ!
農業は天候にも左右されるし、休みは不定期になりがちです。
農業は努力の成果が返って来るまでに時間差がありますから、しんどい時もあります。
だけど会社員の時より、ストレスの種類は変わりました。
やっぱり自然の中で働くのは気持ちいいですし、頑張った分だけ感謝される仕事だからかもしれませんね。



取材させていただきありがとうございました!


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