テレビ番組で養蜂に興味を持つ
よく働くミツバチ群の作り方
口コミで販路が広がるハチミツ
茨城県高萩市の石井崇士(いしいたかし)さんに、
新規就農した経緯や、農家から人気のミツバチ、消費者から人気のハチミツについて伺いました!
就農経緯:様々な仕事を経験→養蜂家を目指す
管理人石井さんはどのような子どもでしたか?



茨城県水戸市で育って、自然が好きな子どもでした。
しかし非農家でしたから、農業には何の興味も持ってなかったです。



非農家だったのですね。
農家になる前は、どんな仕事をしていたのですか?



工業高校卒業後は、埼玉県の印刷会社で4年間働きました。
だけど都会の空気や、職場の人間関係に馴染めなくて、転職を何度も経験しました。



さらに原因不明の手首の病気があり、仕事にも支障を出てきてしまいました。
「茨城県高萩市に、いい病院があるよ。」
と知人に教えてもらったので、通院のために高萩市に住まいを移すことになったんです。



大変なサラリーマン時代だったのですね。
サラリーマンから一転して、養蜂家になろうと思ったきっかけは何でしたか?



知人の高萩市の空き家の片付けを手伝って行く中で、
「片付けが終わったら住んでもいいよ。」
とお声かけいただきました。
そして片付けやリフォームの最中に、東京で養蜂が行われているTV番組を見たんです。
「都会でも養蜂ができるなら、高萩市でもできるのでは?」
と、人や時間に過度に縛られない仕事で、自然の中でミツバチと接する仕事に、惹きつけられました。



テレビ番組がきっかけで、養蜂に興味を持ったのですね。
養蜂家になると決めてからは、どう行動されたのですか?



たまたま弟の知人に、茨城県の養蜂協会の代表の方がいたんですよ。
伝手をたどって、養蜂協会の代表に、養蜂家になりたいと相談しました。
まあ当時は、養蜂が農業に分類されることすら、知らなかったんですけどね(笑)。


就農経緯:養蜂の研修を経て、高萩市で新規就農



養蜂家の元での研修は、どんな感じでしたか?



茨城県城里町の養蜂家の師匠の下で、
・春の採蜜やポリネーション(作物の花粉媒介)
・夏や秋の餌やりやスズメバチ対策
・冬の巣箱掃除やハチミツ出荷
など、1年間研修をしました。
同時に、巣箱を置くのに適した農地を探しましたね。



養蜂に適した農地を、どのように探されたのですか?



農地は自分の足を使って、良さそうな農地を見つけて、地主さんと交渉することが多かったです。
・周囲に民家がない
・風通しも日当たりも程よい
などが、条件がいい農地と言われています。
後は実際に巣箱を置いてみて、ミツバチの働き方を見て、契約させていただくかを決めます。
地代が0円の代わりに、草刈りの代行やハチミツを地代とさせていただくこともありますね。



なるほど、ミツバチにとって、いい農地があるのですね。
あとは自己資金や初期投資は、どう工面されたのですか?



研修中は県独自の補助金を活用させてもらって、独立後は次世代農業人材投資資金を活用させていただきました。
自己資金はあまりなかったのですが、
師匠をはじめ知り合えた養蜂家の方から、巣箱や巣枠、ハチミツの分離機などをいただけたんですよ。



片付けやリフォーム、養蜂の研修と、時間はかかりました。
だけど初期投資はほとんどなく、私は周囲に恵まれていましたね。
そうして2023年36歳の時に、養蜂家として新規就農しましたね。



住まいや農業に必要なほとんどを、周囲から紹介してもらえたのですね。
石井さんが人徳のある方だからだと思いますよ。


栽培:農家が絶賛する、よく働くミツバチの秘訣



では、現在のミツバチ飼育はどんな感じですか?



常陸太田市と高萩市、北茨城市の計6か所の農地で、100群ほど飼育しています。
養蜂の収入源は、大きく2つあります。
・農家へのミツバチの巣箱のレンタル
・ハチミツを絞って販売
活きのいいミツバチを育てるのが、養蜂家の仕事です。



農家への巣箱のレンタル代と、ハチミツの販売が収入なんですね。
では、どんな農家に巣箱をレンタルしているのですか?



イチゴやリンゴ、スイカ農家などに巣箱を貸し出しています。
「石井さんのミツバチは良く働くねえ!他の農家も、石井さんから巣箱を借りたいって言ってるんだけど。」
と、おかげさまで言ってもらえますよ。



たしかに、よく飛ぶ群と、そうでない群はある気がします。
なぜ石井さんのミツバチは、よく働くと評判なんですか?



やっていることは、他の養蜂家と同じです。
当たり前のことですが、巣箱を丁寧に扱うことは大前提です。
雑に巣箱を扱うと、ミツバチは警戒して攻撃的になるので。
蓋を閉じるときも、絶対にミツバチを潰したり刺激しないように、丁寧に閉じます。



あとは、巣箱の内部検査もしっかりやります。
密集していて、女王バチがしっかり機能して統率が取れている群が、優秀な巣箱なんです。
だから内部検査の時に、ミツバチの数を見ながら、巣枠の数を調整したりしますね。



丁寧にミツバチと接することが大切なんですね。
あとは今までの養蜂で、失敗されたことはありますか?



失敗はしょっちゅうしています…(笑)。
2023年の就農1年目は、秋にミツバチの餌が足りなくて、うまくミツバチの数が増えずに、春の採蜜の量が少なくなってしまいました。
私の経験不足のせいですが、より内部検査の精度と正確性が大事だと痛感しましたね。



冬の間の管理が、春以降のハチミツの量に関係するのですね。



ただありがたいことに、相談や情報交換をしていただける養蜂家の方々がいます。
細心で有益なアドバイスをいただける環境は、私にとって大変ありがたいです。



相談できる相手がたくさんいるのは、ありがたいですね!
ミツバチの飼育面の今後の課題や目標はありますか?



ミツバチの群数は、徐々に増やしていきたいです。
2030年には、400群ほどにしたいですね。
多くの群数を飼育するためには、作業効率を上げることも必須なので、内部検査の精度と時間を短縮することが目標です。


販路:口コミで広がったハチミツの販路



では、ハチミツの販路はどんな感じですか?



畑萩市:JA日立高萩農産物直売所、花貫物産センター、休んでっ亭、菊力茶屋、カフェヒトトキ
常陸大宮市:道の駅かわプラザ、三太の湯
常陸太田市:隣のおばちゃん家
水戸市:好文テラス(2026夏頃から販売予定)
に置かせてもらっています。
百花蜜を今までは販売してきましたが、2026年からはアカシアと桜の「単花蜜」も販売予定です。



単花蜜、美味しそう!
ハチミツに関してのこだわりはありますか?



正直、私ならではの工夫と呼べる事はないです。
「嘘偽りのない、天然100%のハチミツ」を作っているだけです。
①春前の採蜜前に、餌の砂糖水は完全に取り除く
②ミツバチたちに羽ばたかせて、時間をかけて水分を飛ばす
③糖分を入れたり、過度な加熱はしない
手間暇かけて、ハチミツを作っています。



たしかに海外産は、煮詰めて糖分を入れていると聞きます。
石井さんはミツバチたちに任せることで、時間をかけてドロッとしたハチミツを作っているんですね。
ところでハチミツは、どうやって販路を増やせたのですか?



最初の何か所かは、ハチミツを置かせてほしいと営業に行きました。
だけど以降はありがたいことに、
「石井さんのハチミツ、うちでも置いてください。」
という感じで、先方からお願いされることで販路が増えていきました。



口コミで販売先から声がかかるほどのハチミツ!
販売の理想形ですね。
引き合いが多いのであれば、どんどん販路を増やせますね!



いや、ハチミツの数が足りなくなると、今取引させていただいている販売先に迷惑がかかるので、現在は販路は増やしていません。
ただありがたいことに、「ネットで購入したい」というお声もいただくので、一部の方に向けたEC販売は検討したいと思っています。


目標やアドバイス:人とミツバチに誠実に



石井さんの今後の目標はありますか?



一気に拡大して、めちゃくちゃ儲けたいとかはないです。
お世話になっている人や、ミツバチたちにも、接し方が変わってしまうのは嫌ですから。
家族と笑って、ゆっくりと過ごせるように、これからもミツバチを育てていきたいです。



なるほど。
最後に、就農希望者の方にアドバイスがあればお願いします。



私もまだまだ、アドバイスが言える立場でもないです(笑)。
ただ、縁あって知り合った方には、誠実に生きているつもりです。
周りの方の支援があったから、私は養蜂家として生きられています。
だからミツバチに対しても、やれることを一つずつ誠実にやっていくだけです。



謙虚な姿勢が、石井さんの養蜂のコツなのかもしれませんね。
取材させていただきありがとうございました。


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