ミニトマトで愛知県田原市を盛り上げたい！農業大国で農作物のPRに奮闘するミニトマト農家！

全国市町村別農業産出額で1，2位を争うほどの、農業が盛んな愛知県田原市で育ったので、同級生家庭はサラリーマンが少なく、農家家庭がほとんどでした。
おかげで、「農業は身近な存在で、日本はほとんどが農家なんだ」 と、勘違いしてましたね（笑）。

「農家が多い地域なのが珍しい。」
という認識も、小学生のころはなかったですね。
だから中学高校と進学していくにつれ、サラリーマン家庭の同級生が多くなり、日本の農業の実情を知っていきました。
愛媛大学の農学部に進学したのですが、
・田原市の存在や農業が盛んなことも知られていなかったり、
・専業農家では生計が立てられない地域もあったり、
という事実を知って、カルチャーショックを受けました。
そんなこんなで大学卒業前には、
「農家を継がなくても、農業や食に携わる仕事ができればいいかな。」
という気持ちでしたね。

農学部の大学を卒業したのちに、縁あって地元である愛知県田原市の種苗会社で4年ほど働きました。
営業職として農家さんの所を回って、種や肥料や資材の注文・配達をするのが主な仕事でしたね。
ムラカミトマトファームの村上さんも直属の先輩で、大変お世話になりました！

大きな理由の一つは、実家の農家が電照菊からミニトマトに作物転換したことですね。
両親が菊→ミニトマトに作物転換の決断した理由については、近年は造花や洋花などに押され、菊の需要が減っていたからだそうです。

それに加えて2010年代頃から、ミニトマトの環境制御の技術や高軒高のビニールハウスが導入されつつありました。
実際に自分も営業として、色々なメーカーさんの情報で環境制御技術を知り、トマトの収量が地域の平均の何倍にもなった話を聞きました。
「電照菊は1本の苗から1輪しか収穫できないけど、ミニトマトは1つの苗から技術次第で収穫量が平均の2倍、3倍も増やせる！上限がみえない！」
と、ミニトマトの環境制御技術に、大きな可能性を感じたんです。
あとは祖父が元気なうちに、親子三代で一緒に農業がしたいという気持ちもありました。

家族からは「やりたいならどうぞ好きにしなさい。」という会話をしたと思います。
しかし種苗会社時代から営業で回っていた農家さんや農家の友達からは、口を揃えたように、
「農家は儲からないからやめとけ！サラリーマンのままの方がいい！」
と、農業日本一の地元田原市の農家に否定されたのはショックでした。
「日本一の産地で農業がダメなら、全国の小さな産地はもっと危機的状況ではないか。田原市が盛り上がらなければ日本の農業に未来はない！」
と思いました。

農家になって良かったことは、土日祝日関係なくかかってくる農家の方からの電話から解放されたことですね（笑）
自分のペースで好きなように仕事できて、全て自己責任ということは、自分には向いていたと思います。
その反面、休みがなかなか取れなかったり、毎月安定した給与がないことは不安ではありました。
けど、「なるようにしかならない！」と自分を奮い立たせていましたね。

そうですね、土耕栽培で環境制御技術を取り入れながらミニトマトを栽培しています。
労働力で言えば、私と両親と祖父、あとはパートさんが2，3名来てくれています。
ただ自分が入ってから、ビニールハウスの面積を3300㎡→2600㎡に減らす決断をしました。
誘引（樹の整頓）や摘葉の作業が間に合わずに、茎が折れたり、収穫が遅れたりしましたから、
まずはしっかり手入れが回るようにするために、面積を減らすことを両親に提案しました。

当然、両親は反対でしたよ。
「なんで人手と人件費が増えるのに、栽培面積を減らすんだ！」
という感じで。
ただ環境制御の技術体系を高めれば、栽培面積を減らしても収量は増えるという仮説が、自分の中にありました。
栽培面積を減らした結果は自分の予想通り、収量は減るどころか増えましたよ！
管理するハウスが減ったので、暖房などの経費も削減できたのも大きかったですね。

他の農家がしていないことで言えば、ミニトマトに肥料として、かつお節などの「出汁」を定期的に与えていることですね。
グルタミン酸やイノシン酸などの旨味成分を肥料として与えることで、成分分析の指標でも高い数値が出ています！
https://atsumichan-tomato.com/analysis

おかげさまでお客様には、
「旨味が濃くて、本来のミニトマトの味がするね。」
言ってもらえます。
フルーツトマトや高糖度トマトと言った糖度が売りのトマトはよく見かけますので、
「旨み」や「味の濃さ」にフォーカスすることが差別化になっていると思います。

近年の夏の暑さで、ミニトマトの花が落ちてしまうことが多いことと、コナジラミという害虫による被害が課題ですね。
対策としては、遮熱材を濃く塗ったり、植える時期をずらして植えたりなど、猛暑の環境に適応することを考えています。
害虫については農薬の効きが悪くなっているので、天敵昆虫をテスト導入しています。

市場出荷が9割で、直販は全体の1割ほどです。
今後は直販の割合をもっと上げていきたいと思っています。
だから新たに、「出汁推し実」というブランドを掲げて、味の濃いミニトマトを売り出しています。
自社HPの作成、SNSでの発信、産直ECでの販売、イベント出店なども、自分が始めたことですね。

単価が自分で決められるというのも直販を強化する理由の一つですけど、やっぱり美味しかったとお客様から褒められるのは嬉しいじゃないですか！
自分だけではなく両親も、高評価をもらえるとモチベーションも上がってますからね。

そうですね、各地のマルシェにも出ていますね。
マルシェなどのイベントに関しては、時代の流れや市場の調査の意味もあると思っています。
価格帯、売れ筋の作物、展示方法、○○PAYなどの支払い方法など、ハウスで作業しているだけでは分からないこともありますから。
それに直接お客様と交流できた方が、自分も楽しいですからね。

そりゃあイベント出店した何度かは、交通費などの経費の方が高くなってしまうこともありましたよ。
だけど出汁推し実の宣伝になりましたし、売れ行きもいいマルシェの目利きもできるようになったので、全部含めて勉強です！

今後の目標としては、出汁推し実をもっと多くの方に知ってもらいたいですね。
そのためには、SNSや自社HPでの発信も意識していきたいです。
自社HPに関しては、「ミニトマト　美味しい」「ミニトマト　産直」などの検索でヒットするようにしたいですし、
Xやインスタグラムは、消費者が普段接することのない農家と気軽に絡みやすいアカウント運用を心がけていきたいです。

うーん、親元就農に限った話じゃないんですけど、
「なぜ農業がしたいのか」というのは、真剣に考えた方がいいです。
農業はとてもやりがいのある職業ですし、農業界に足を踏み入れる以上は、全員成功してほしいと思っています。
しかし異常気象や資材高騰など、農業経営は今までになく難しくなっています。
成功するための営農計画を、しっかり考えてほしいですね。

反収1000万円以上を売り上げたいという目標はありますけど……、
売上目標以上に、「田原市の農業をもっと盛り上げたい」と思っています。
今は私の地域でも、20代があまりいません。
農業が儲からないために、農家の子どもでも就農せずに外に出て行ってしまいました。
そのため子どもの人数も地域からどんどん減っているので、寂しさと同時に地域の将来も心配になります。
まずは自分が「農業は儲かる！」と証明することができれば、若い農家や後継者は増えると思っています。

ミニトマト生産者だから被り物と赤髪、そのまんまですけど、「被り物を脱いでも赤髪」という二段構えがウケるかなと思いまして。
しかも意外とみんなやらないから、目立てるんですよね（笑）！
でも最近地域の子どもたちから、
「シャン○スのマネをしてるの？」
って言われた時はビックリしました（笑）。

学生の頃に、自転車で四国や九州を1周したり、車で日本1周したり、SAS○KEにも出場したりしたんですよ！
「自分の好きなように、自由に行動していいんだ！」
と変に自信がついたのか、周りから変な目で見られようが気にならなくなりましたね。